ついに、本格的に医薬品・医療機器の
費用対効果評価が導入されます!
費用対効果評価?
なんだ?
という感じだと思います。
難しく言うと、
「医薬品や医療機器の費用対効果をあるロジックで評価する。それに基づいて保険償還価格(医薬品の場合は薬価)を調整する制度になります。」
簡単に言うと、
「今、国が決めている医薬品の薬価を適正な価格に引き下げる。ただ、理由なく下げると製薬会社が納得しないので、一応そのルールを決めました。」
だと思います。
●導入経緯
・2010年
➡中医協で議論開始。
・2012年5月
➡中医協に「費用対効果評価専門部会」が設置され検討が本格化。
・2016年4月
➡医薬品7品目・医療機器6品目を対象に試行スタート。
・2019年2月
➡中医協で制度の骨子決定。
・2019年4月
➡本格導入予定。
但し、この制度は、費用対効果評価は保険適用するかどうかの判断には用いらない事が大前提になります。
~~~~~~ここから、本題に入ります~~~~~
では、実際の内容はどうなんでしょうか。
様々な条件で変わるみたいですが、
簡単にまとめると・・・
「ICERが500万円/QALYを超えた医薬品は薬価が引き下げられます。」
●「QALY」とは?
「QALY」とは、「質調整生存年」になります。
具体的には、生存年とQOL(生活の質)をあわせて評価し、それに生存年を掛けて計算します。
例えば、
同じ生存率30年の患者で比較してみます。
⏩「完全な健康状態で20年、その後病気で寝たきりとなりQOL0.3の状態で10年生きた患者X
QALY=23になります。
20年×1.0+10年×0.3=23
⏩「病気によりQOL0.5の状態で30年生きた患者Y」
QALY=15になります。
30年×0.5=15
生存年は同じ30年でもQALYは患者Xのほうが高くなります。全然中身が変わってきます。
この「QALY」を使ってICERを算出します。
●「ICER」とは?
「ICER」は、ある治療を別の治療と比べた場合に、QALYを「1」獲得するのにいくらかかるかを意味しています。
今回導入される制度では、費用対効果を「完全な健康状態で寿命を1年延ばすのに、追加でどれくらいの費用がかかるのか」で評価するということです。
この値が小さいほど費用対効果は良いということになります。
例えば、この下記のようなケースでは
⏩既存薬aが10QALY獲得するのに1000万円
⏩新薬bが15QALY獲得するのに3000万円
この場合、新薬bのICERは400万円/QALYとなります。
【計算方法】
新薬b 3000万円-既存薬a 1000万円=2000万円
新薬b15QALY -既存薬a10QALY =5QALY
2000÷5=400万円/QALY
このような計算方法になります。
新薬bは既存薬aに比べて完全な健康状態で1年生存するのに追加で400万円のコストがかかるということになります。
このような計算から、ICERが500万円/QALYを超えた医薬品は薬価が引き下げらと決定しました。
様々な条件で変わるみたいですが、これがベースになります。
製薬業界の反応は、
日本製薬工業協会(製薬協)コメント
⏬
「医薬品の研究開発・安定供給を継続していく上で厳しい内容と言わざるを得ない」
実際、海外では、この概念を取り入れている国もあります。日本もようやくスタートラインに立ったということになります。
患者ファーストで今後も改革していって欲しいと思います。