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医療用医薬品販売情報提供活動ガイドライン施行!音声記録まで必要!?

厚生労働省が策定した「医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドライン」が2019年4月から施行されます。
このガイドラインの対象は、医薬品製造販売業者、その販売情報提供活動の委託先・提携先企業(コ・プロ含む)、医薬品卸売販売業者になります。

販売情報提供活動ガイドラインについて

ガイドライン第2 医薬品製造販売業者等の責務項目には、下記の9点が記載されています。

  1. 経営陣の責務
  2. 社内体制の整備
  3. 販売情報提供活動の資材等の適切性確保
  4. 販売情報提供活動に関する評価や教育等
  5. モニタリング等の監督指導の実施
  6. 手順書・業務記録の作成・管理
  7. 不適切な販売情報提供活動への対応
  8. 苦情処理
  9. 販売情報提供活動の委託先・提携先企業及び医薬品卸売販売業者

「6.手順書・業務記録の作成・管理」に関して、多数の製薬会社は紙ベースからPC管理に移行し既に実施しています。
具体的には、会社から支給されているPCで、特記事項を含めた業務記録(施設訪問先・情報提供者・品目・活動内容等)を入力し管理しています。

しかし、この項目で気になることが・・・

本文のなかに、括弧書きで、

(販売情報提供活動において口頭で説明等を行った内容の記録を含む。)

と記載されています。

最初は、口頭で説明した内容の記録までは現実的ではない、どうせ形式だけ、そこまでチェックしないのでは?と思いました。

しかし、最近の厚生労働省は何故か製薬会社に厳しい。

何かと製薬会社に対して規制をしてきます。
例えば、接待規制、販促物規制、説明会時のスライド内容等・・・。
ありすぎてすべては書けません。
従来の活動からでは想像できない状況を作り上げてきています。
なので、厚生労働省が作成したあのガイドラインには、素直に従ったほうが得策だと感じます。

何かが起きてからでは遅いです。

ガイドラインにちゃんと記載されていますと指摘され、厚生労働省が大好きなペナルティが発動します。

口頭で説明した内容をどう記録するのか?

「口頭で説明」した内容を記録する・・・。

どうやって?

厚生労働省は、これまでに説明会スライド・プロモーション資材等の規制を随時導入してきました。更に今回は「口頭での説明」した内容まで記録化することを求めています。

「MR自身を守る意味があるから必要である」という考えもわかりますが、個人的にはやり過ぎだと感じます。
喜んでいるのは、厚生労働省か「音声記録システム」を扱っている企業だけだと思います。
逆に言うと、「音声記録システム」を扱っている企業はビジネスチャンスです。

なぜビジネスチャンスなのか

全国的にMR数は減ってきています(4年連続で累計3000人以上減少していると言われています)。しかし、それでも製薬会社72社MR総数は、まだ約5万人以上います。
この販売情報提供活動ガイドライン施行のタイミングで、システムを提供している会社が新規契約を結ぶことができれば、相当な金額が動く可能性があります。単純に考えて約5万人以上の顧客が未契約状態で目の前にいるわけですから。
しかもフリーの5万人ではなく、72社(関連会社も含む)に所属している団体で。おいしい市場の香りがしています。

音声記録システムについて

音声記録システムは、類似システムを含めてかなり世の中に存在しています。

例えば、株式会社日立製作所が2018年10月10日からクラウドサービス「音声書き起こし支援サービス」を提供しています。
このクラウドサービスは、会話音声データを音声認識技術により高精度にテキスト化するとともに、テキスト化されたデータの編集をすることが可能となっています。
ちなみに提供している株式会社日立製作所は、音声認識の技術評価国際イベント「CHiME-5」で音声認識率世界2位を受賞しています。

世界的に評価されている技術なら間違いない!
株式会社日立製作所のサービスにしよう!

と思いますが、製薬会社にマッチするのでしょうか?

製薬会社が導入すべき音声記録システムは何?

「医療に特化している音声記録システム」がベストだと思います。

なぜ医療に特化している必要があるのかと言うと、MRという職種は、日常で「医療用語」という独特な言葉を使用するからです。医療に特化しているシステムなら既に蓄積されているデータを利用でき、音声変換ミスも少なくなると考えています。どんなに音声が高精度にテキスト化されても音声変換ミスが多ければ意味がありません。

例えば、「HbA1C」「鼻汁中好酸球」「柴胡疏肝湯」「僧帽弁尖」。

それぞの読み方は、

HbA1C」:ヘモグロビンエーワンシー
「鼻汁中好酸球」:びじゅうちゅうこうさんきゅう
「柴胡疏肝湯」:さいこそかんとう
「僧帽弁尖」:そうぼうべんせん

になります。

これらの用語が音声登録され自動的にテキスト化される際に、誤字脱字がなく、一発変換されるのでしょうか?

正直厳しいと思います。今、自分で書いていても一発変換で表示はされません。
このように医療用語は特殊な読み方をするケースが多いです。

個人的見解ですが、最先端技術ではなく医療専門データが蓄積されたシステムのほうが適していると思います。

遂に施行!

遂に「販売情報提供活動ガイドライン」が施行です。
新しい環境になるということは、新しいビジネスが生まれるチャンスだとも思います。
「販売情報提供活動ガイドライン」を活用してビジネスに繋げる企業がどれだけ出てくるかが楽しみです。
今後も医療業界をウォッチしていきたいと思います。


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