老人ホームなどの施設に入居されている方や在宅患者などで長期間安静状態で動かないと発症しやすい廃用症候群。
昨今、コロナの影響で外に出ることを自粛し、待機状態が続いている人も多いかと思います。
実は、動く頻度が減少すると筋力が低下することで廃用症候群(生活不活発病)が進行してしまう可能性もあります。
そんな廃用症候群について今回は紹介します。
廃用症候群とは?
廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のことをいいます。
廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著です。
1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもあります。
さらに、気分的な落ち込みが顕著に現れてうつ状態になったり、前向きに取り組むやる気が減退したりと、精神的な機能低下も見られます。
廃用症候群によって生じる症状
1 運動器障害
筋萎縮、筋力低下、関節拘縮 (関節の動く範囲が制限される)、骨粗鬆症 (骨がもろくなり、折れやすくなる)、腰背痛、五十肩など。
2 循環器障害
起立性低血圧 (寝た位置から起こすと血圧が下がり、脳貧血症 状を起こし、歩行不安定、転倒の原因となります)、静脈血栓症、肺塞栓症、肺炎、浮腫(むくみ)、褥創(床ずれ) など。
3 自律神経障害
便秘、尿失禁、大便失禁、低体温症など。
4 精神障害
抑うつ、無為無欲状態、食欲不振、拒食 睡眠障害、不眠 など。
5 その他
尿路感染、尿路結石
廃用症候群の予防
廃用症候群は過度の安静状態や関節の痛みや動きの鈍りが原因になります。
次に紹介する内容を行うことで予防できますので、予防できることは予防しましょう!
1. 適度な運動を行い筋力低下を予防しましょう。
高齢者でも軽い筋力強化 運動を長期間継続して行うことによって骨格筋量の増大、筋力向上に期待できます。
2. 食事でカルシウム摂取、運動、日光を浴びることで骨萎縮を予防しましょう。
3. 関節は動かさなければ固まってしまいます。なので、拘縮予防のために関節可動域運動を行いましょう。
廃用症候群の対処法
動く機会をつくる
症状を悪化させる原因になるため、付きっきりでの介護は避けましょう。身の回りの事で、自分でできることは極力自分で行うことが推奨されています。
リハビリの実施
リハビリも効果的です。過度なリハビリは危険ですので、専門の方に相談をしながら進めてください。
薬物治療
関節痛などの痛みを発症している場合や心機能の低下が見られる際には、それぞれの症状に合わせた投薬治療を行います。また、せん妄などの精神障害を発症している場合も同様です。
廃用症候群にならない為には、寝たきりにならないことが大切です。
仮に寝たきりの状態になってしまっても、周りのサポートをうけて諦めることなく、カラダをメンテナンスしていきましょう。