現在、製薬会社は軒並みリストラを実施し、MR数を減らしています。MR認定センターのまとめによると、MRの数は2013年度の6万5752人をピークに毎年減少し、2020年度は5万6058人となっております。
様々な要因が影響しこのような状況となっていると思いますが、今後改善することは厳しいと思います。
なので、MRで培ったスキル、人脈を活かして次のステップを目指すしかないです。
そんな状況の中、MRの経験を活かしつつ、活躍できる職種を紹介します。
それは、地域連携のスペシャリスト 地域連携室です。
病院やクリニックに訪問していると聞いたことがある単語だと思います。
本日は、特に在宅クリニックの地域連携室について紹介します。
転職される際に少しでも参考になればと思います。
- 一般的な地域連携室とは?
- 在宅クリニックの地域連携室とは?
- クリニックの院内業務
- クリニックの院外業務
- 地域連携室に向いている人
- 地域連携室に向いていない人
- 製薬会社MRの経験は活かすことができるのか?
- 最後に
一般的な地域連携室とは?
地域連携室とは、文字通り地域医療サービスを連携させるのが目的の職種になります。
具体的には、患者と地域の医療機関や大病院とを繋ぐ橋渡しをし、退院や転院の調整をスムーズに行う役割を担います。
地域連携室には、医療施設のみならず介護施設や行政・福祉施設など、様々な分野で連携することが求められています。そのため地域連携室には様々な業種のスタッフが集められるという特徴があります。
医師や看護師のほかに、医療ソーシャルワーカーや事務員など、多彩な職種がそれぞれの役割を生かしながら働くため、職場内での自分の役割をしっかりと認識する必要があります。
在宅クリニックの地域連携室とは?
在宅クリニックの地域連携室も文字通り、地域医療サービスを連携させるのが目的の職種になります。
しかし、実は営業の要素が強い部分もあります。
※病院やクリニックによって地域連携室が担う仕事内容は違います。
在宅クリニック=訪問診療クリニックの市場は拡大していますが、その分新規参入するクリニックも多く存在します。
激化している市場の中でクリニックの経営拡大を目指す為には、より多く集患し、より医師や看護師を抱え、展開していかないといけません。
その為には、「より集患できる営業力」が必要になります。
ここの部分がまさに製薬会社に所属しているMRが勝負できる部分になります。
しかし、営業以外にも多くの業務が地域連携室にはあります。
すべてではありませんが、一例を紹介します。
クリニックの院内業務
スタッフの勤務管理
在宅クリニックの場合、基本的には365日24時間対応が多いと思います。そうなると、クリニックの事務職、看護師、その他医療従事者の勤務管理は非常に大切になります。訪問施設が多い日だと人員も必要になるので、スタッフの勤務管理は先を見据えて組み立てましょう。また、勝手にスタッフのスケジュールを決めることはできないので、日々のコミュニケーションがポイントになります。
訪問診療のスケジュール管理
クリニック経営に直結する部分になります。効率的な施設や個人宅周りを計画しないと待機時間が増えるだけで、訪問できる軒数・患者数を確保できません。
訪問診療では基本的に月2回の訪問がベースになります。訪問するエリアや距離感を考慮し、効率の良い訪問計画を立てましょう。
連携可能な病院やクリニック探し
患者さんの状態の変化(救急車を呼ぶ前段階のレベル)によって、急遽入院できる病院や通院できるクリニックなどを探す業務になります。緊急性が高い案件もあるので、即対応できるように病院などをリスト化しておくことをオススメします。また、対象患者さんの既往歴や治療内容、薬剤情報、直近のADLなどを連携先に伝えるケースも多いので、製薬会社MRの方は問題なく対応できると思います。
事務処理
その他必要に応じて事務処理をするケースがあります。基本的にはイレギュラー対応がメインで、この時期ですとインフルエンザワクチンやコロナワクチンなどについて市町村に確認することが多いのではないのでしょうか。
クリニックの備品管理
クリニックを円滑に継続させる為、不足している備品の管理をするケースもあります。
クリニックの院外業務
新規施設への営業(老人ホームなど)
患者獲得を目的とした営業になります。ここについては製薬会社MR時代に培ったスキルが役立つと思います。営業する相手は医者ではなく、施設の責任者やケアマネジャーになります。現状の状況を確認し、顕在化されていない課題を導き出し、面談の中で相手に認識させ、問題解決方法を提示するような流れになります。
新規患者獲得の営業
個人宅を狙う営業では居宅支援事業所に所属するケアマネジャーへの営業が必須です(訪問看護ステーションも対象)。クリニックの雰囲気や特性を理解してもらい、紹介してもらえるように関係を構築する必要があります。
この部分でも製薬会社MR時代に培ったスキルが役立ちます。
既存先の関係者へのフォロー(個人宅患者含む)
新規営業より大切になるのは既存施設(患者)へのフォローです。訪問診療の主治医について患者さんは選択の自由確保 フリーアクセスという権利があります。
簡単に言うと、患者さんは自由に主治医を変更できますよという権利です。
なので、フォローは必須です。また、施設ですと初回の反応が良ければ施設内入居者やケアマネジャーなどに紹介してもらえます。
訪問している施設数が多ければ多いほど紹介人数にも期待でき、1年後には相当数に拡大しているケースもあります。
医療従事者への人脈作り
どこで何が起きるかわからない業界です。実は、不動産屋が老人ホームを運営していたりするケースもあります。運営母体を確認するとかなりのジャンルの業界が参入しているのがわかります。
地域連携室に向いている人
医療制度について学ぶ意欲があり、コミュニケーション能力が高く、実行力のある人は向いています(ハートが強い人も)。
特に製薬会社MRでは、生活習慣病薬の販売経験者、エリア担当者、地域連携に力を入れていたMRは非常に向いていると思います。基本的に医療従事者との絡みが多くなりますので、過去の経験を活かし、スムーズに取り組むことが可能です。
医者に対しての営業ではないので、面談相手と同じ目線で話を進めることができ、地域連携の一員として感じる場面が多く、医療貢献を実感できます。
地域連携室に向いていない人
医療制度について学ぶ意欲がない人、対面でのコミュニケーションが苦手な人、実行力がなく打たれ弱い人。
製薬会社MRの経験は活かすことができるのか?
希少疾病の知識が必要か?と言われれば必須ではありません。必ず必要になるのは地域連携の考えや医療制度(介護制度も含む)の知識になります。
しかし、逆に考えると製薬会社に所属しているMRのような学術レベルを持った地域連携室の人はまだ少ないということは、価値があります。
医療業界の未経験者より製薬会社MR経験者の方が医療関連の知識がある分、飛び込みやすいので、目の前にある世界に飛び込みましょう。
最後に
将来的に製薬会社MRを辞めて他の職種を希望されている方は、在宅クリニックでの勤務をお勧めします。これからさらに地域連携室など営業力のある人のニーズが高まると予想できます。
また、本日紹介した内容以外でも製薬会社MR経験があるからこそ適している職種も多くあります。
結局は自分が何をしたいのか、実現したいかによります。
転職するからには納得した職種を選んでください。
時代は変化しています。
10年後、MR数が増えている可能も0とは言えません。
訪問診療クリニックに興味がある方は是非下記記事もよんでください!
製薬会社「ディテール」とは?