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インドに後発品を扱う医薬品メーカーが多い理由!特許が問題!?

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2019年3月26日に関節リュウマチ治療薬「エタネルセプト」のバイオ後続品(バイオシミラー)が新たに製造販売承認を取得しました!

先行して販売しているバイオ後続品:エタネルセプト BS「MA」(あゆみ製薬)は品薄・欠品状態だと聞いています。

www.ayumi-pharma.com


新たに流通量が増加すると予想されるので、待っている患者さんには吉報だと思います。

今回、新たに製造承認されたエタネルセプト(バイオ後続品)の原薬がどこからきているのか調べてみました。
今回のエタネルセプト(バイオ後続品)の原薬は、ルピン・リミテッドが製造しています。このルピン・リミテッドという企業は、インドの医薬品メーカーになります。

インド医薬品メーカーは、昔からジェネリック(後発品)領域に関して強いイメージがあります。
何故かなと思ったので本日はまとめてみました。

なぜインドはジェネリック(後発品)に強いのか

日米欧とは違う特許の考え

ジェネリック大国になれる理由・・・

ズバリ!答えは「特許」問題です。

インド特許法第3条が大きな壁となりジェネリック医薬品を製造できる環境を作っています。
日米欧等で有効と認められている特許が、インド特許法第3条または進歩性の欠如により、拒絶または無効になってしまいます。

インド特許法第3条とは?

インド改正特許法は2005年4月に公布され、2005年1月1日に遡及して施行されました。改正内容は、世界貿易機関(WHO)の知的所有権の貿易関連:TRIPS協定に基づき物質特許制度およびその20年の特許期間が導入されました。
その際に、先進国の特許法にはない内容も記載されました。その内容が下記の内容になります。

インド特許法第3条(d)

第3条 発明ではないもの
(d)既知の物質について何らかの新規な形態の単なる発見であって当該物質の既知の効能の増大にならないもの、又は既知の物質の新規特性若しくは新規用途の単なる発見、既知の方法、機械、若しくは装置の単なる用途の単なる発見。ただし、かかる既知の方法が新規な製品を作り出すことになるか、又は少なくとも1個の新規な反応物を使用する場合は、この限りではない。

このように記載されています。
また、第3条(d)はエバーグリーニングを防ぐために設定されたと言われています。このエバーグリーニングとは、既存の特許商品に少しの変化(重要ではない)を施すことで特許の延長をさせることです。

特許問題で代表的な事件

グリベック事件:ノバルティス

慢性骨髄性白血病治療薬(グリベック)結晶特許出願に関する事件です。新規性および進歩性を満たさず、第3条(d)に規定する不特許事由にも該当すると認定されています。

タルセバ事件:ロシュ

塩酸エルロチニブの物質特許に関する事件です。
インド医薬品メーカーが提供しているタルセバ後発品は、タルセバ物質特許を侵害していないと認定されています。

代表的なインド医薬品メーカー

ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ

米国で医療用麻薬「オピオイド」中毒治療薬のジェネリックの承認取得。「ブプレノルフィン」と「ナロキソン」が含有されている治療薬になります。

www.drreddys.com

サン・ファーマ

1983年に設立。インドを拠点にしている企業です(日本法人は2012年に設立)。
2015年4月、ランバクシー・ラボラトリーズ社の吸収合併手続きを完了しています。
世界第5位のジェネリック医薬品メーカーです。

www.sunpharma.com

シプラ

「Caring for Life」をモットーに世界展開している
製薬会社です。80ヵ国以上で活動していて、50以上の剤形、様々な治療分野にわたる1500以上の製品のラインアップがあります。

https://www.cipla.com

ルピン・リミテッド

1968年に創業。世界100ヵ国以上で展開しています。(アメリカ、オーストラリア、ドイツ、オランダ、スイス、メキシコ、ブラジル、ロシア、南アフリカなど)。
特に力を入れている領域は、循環器、糖尿病、喘息、小児科、中枢神経、消化器、抗感染薬、非ステロイド系抗炎症薬になります。
世界第8位のジェネリック医薬品メーカーです。

www.lupin.com

バイオコン

バイオ医薬品企業です。スタチン・免疫抑制剤のような医薬品の製造、糖尿病・腫瘍学・免疫学などの慢性治療における生物学的製剤の発見・開発・製造まで携わっています。また、米国、EU、オーストラリア、日本などの先進国からもバイオシミラーの承認を受けています。バイオシミラーに関しては積極的に力を入れている企業になります。
米マイランと共同開発した「オギブリ」は、7年ぶりにFDAの許可受けたバイオ後続品になります。

www.biocon.com

インド医薬品市場

インドの人口、医薬品市場の伸長率を考えてもかなり魅力のある市場だと感じます。
しかし、この特許問題がある限り、今後も製薬会社の参入は厳しいです。
事実、インド国内市場では、各製薬会社は先進国価格より大幅に下げ、安く医薬品を販売しています。

先行投資をして技術進歩を目指すよりも、価格に拘り、安く医薬品を開発し、横展開していくやり方は当面変わらないと思います。

画期的な新薬には期待できない、それがインド市場です。

まとめ

  • インドには特異的な特許制度がある。
  • それが理由でジェネリック開発が進んでいる。
  • 画期的な新薬には期待できない。