協和キリンは7月29日、腎性貧血治療剤「ネスプ」(一般名:ダルベポエチン)の「バイオセイム」について、完全子会社である協和キリンフロンティアを通じて8月5日に発売すると発表。
国の方針にもなっている「バイオシミラー」。最近は、「バイオセイム」という概念も出てきています。そこで「バイオシミラー」「バイオセイム」について簡単にまとめてみました。
先行バイオ医薬品・バイオシミラー・バイオセイム
先行バイオ医薬品
タンパク質や細胞、ウイルスやバクテリアなどの生物によって製造・抽出・合成された医薬品になります。
バイオシミラー
分子量が大きく構造が複雑なので先行バイオ医薬品と同一性を示すことが困難です。新薬同様に臨床試験が必要になり、先行バイオ医薬品と同等・同一の品質や有効性・安全性を検証しています。
バイオセイム
先行バイオ医薬品と中身は同一、包装のみが違う。中身が同一になるので改めて臨床試験を実施する必要がない。
薬価は先行医薬品の70%に設定
バイオシミラーは、原則として「先行バイオ医薬品の薬価70%」に設定されている。バイオセイムも同様に「先行バイオ医薬品の薬価70%」に設定。ただし、薬価がバイオ医薬品70%に設定されても、物凄く高いのが改めて数字で見てみると感じます。
例えば、バイオ医薬品で有名な「レミケード」。2019年8月の薬価で比較すると
【先行バイオ医薬品】
販売名:レミケード点滴静注用100→薬価:80426円/瓶
【バイオシミラー】
販売名:インフリキシマブBS点滴静注用100mg「NK」→薬価:50042円/瓶
バイオシミラーにしてもやはり高いのが現状です。
本当はもっと低薬価に設定できる
バイオセイムは先行バイオ医薬品と同じラインで製造されるため、本来はもっと低価格に設定するのが可能であるとも言われている。しかし、バイオシミラーとバイオセイムの薬価は、同一の先行バイオ医薬品の70%。何故なんでしょう。ここで問題になるのは「低価格」による「バイオシミラーへの影響」です。
仮に、バイオセイムがより低価格に設定すると、バイオシミラーが全く売れなくなってしまうという状況が起きてしまいます。国もバイオシミラー導入に関しては推奨しているので、バイオシミラーの状況を悪くすることができないのでしょう。
本来は、国が安く薬価を設定し、製薬会社が苦悩するという構図ですが、バイオセイムは違います。
あえて、国が高い薬価を設定してくれますので、製薬会社にはメリットしかありません。
今後
この状況を踏まえると、バイオセイムの開発・販売はこれからもどんどん進んでいくと予想できます。国が高薬価を設定してくれるので製薬会社も積極的になると思います。
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