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信用スコアは日本の医療でどのように活用できるのか。あなたの信用スコアは一体何点でしょう?

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「信用スコア」=「信用力の数値」になります。認知度はまだ低いかもしれませんが、実は日本国内でも既に少しずつ使われ始めています。信用力が数値で可視化されることにより、様々な特典サービスを受けられるようになっています。

この信用スコアは中国をはじめとする海外諸国ではすでに浸透しており、個人の信頼性を評価する基準として一般的に使われています。今後、日本でも一般的に普及する可能性が高く、その際に日本の医療でどのように活用できるのか考えてみました。

芝麻信用(ジーマ信用)とは?

この信用スコアで有名なのが中国で普及している芝麻信用(ジーマ信用)になります。芝麻信用(ジーマ信用)はアリババグループのアント・フィナンシャルサービス傘下の独立した信用サービス機構であり、2015年1月に中国人民銀行が個人信用スコアサービスの開業準備を認めた8社のうちの1社になります。芝麻信用は通称セサミ・クレジットとも言われ、アリペイに紐づけられており、その人の信用力を表すスコアになります。

 

「芝麻信用」=「自分の信用スコア」 

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アリペイを利用することにより、芝麻信用(ジーマ信用)の信用スコアに反映されるので、より高額なものを購入するときはアリペイを利用する人が多いみたいです。また、1ヶ月に1回更新されるために毎月上下推移していきます。

このスコアの高得点の対象者は、クレジットカード、消費者金融、融資・リース、担保ローン、ホテル、不動産、レンタカー、旅行、結婚恋愛、学生サービス、公共事業などの様々なサービスを利用することができます。

芝麻信用(ジーマ信用)の信用スコアの評価項目

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詳細なことは発表していないが、大まかに下記の項目で計算していると公表はしています。また、SNSでの言動や提携サービスの利用状況など膨大なデータも収集されています。このデータをAIが分析し信用スコアを算出されています。

・学歴

・勤務先

・資産

・返済

・人脈

・行動

信用スコアの範囲

「350~950」の幅で点数が算出されます。評価は5ランクに分けられています。

①350~549:劣る

②550~599:普通

③600~649:良好

④650~699:優秀

⑤700~950:極めて優秀

信用スコアが減点されると予想されている行為

・支払いの遅延

・ホテルの備品を持ち帰る

・トラブルを起こす

・交通違反

・レンラル品の未返却/滞納/未清算

芝麻信用(ジーマ信用)のスコアが高いと利用できるサービスは?

・デポジットなしでホテルの予約が可能

・レンタカーサービスのデポジットが不要

・賃貸サイトでの敷金が不要

・旅行ビザの取得が容易になる(一部の地域対象)。特にシンガポールビザ

・クレジットカードの限度額やキャッシング限度額が上がる

・借り入れ利率が低くなる

・街中で傘や充電器を無料でレンタルできる

上記以外でも、信用スコアが高いことで就職面接で有利、借りれる物件の選択肢が広がる、婚活でモテるなどのメリットもあります。

信用スコアのデメリット

信用スコアは当然良いことだけではありません。デメリットもあります。

・信用スコアだけで判断されるケースもあり不平等が生まれる。差別やいじめなどに繋がってしまう可能性がある。

・個人情報保護の問題。

・スコアを意識した生活になってしまいストレスを感じる社会になってしまう。

信用スコアによって信用力が数値で可視化されますのでメリットもありますが、当然デメリットも存在します。このバランスをいかに今後クリアにするのかが課題になります。

信用スコア展開状況 in 日本

2016年 

J.Score社(ソフトバンクとみずほ銀行が共同出資)がAIスコアを開始。AIによる査定で融資を決定する「AIスコア・レンディング」を提供。 約150の質問に答えると回答内容からAIが信用スコア「Jスコア」を算出し、融資条件が決まるシステムになります。

2018年 

ヤフーは信用スコアの実証実験を開始すると発表。また、NTTドコモは「ドコモレンディングプラットフォーム」を展開していくと発表しています。

2019年 

6月27日にLINEが独自のスコアリングサービス「LINE Score(ラインス コア)」をリリース。 LINEユーザーであればLINEアプリ上のLINEウォレットから利用可能です。スコアは100~1000点の幅で算出。また、ヤフーもついに7月から企業向けに「Yahoo!スコア」のサービスを開始。

信用スコアと医療

病院の業務改善を目的に活用 in 中国

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この信用スコアを医療にすでに活用しているのが芝麻信用(ジーマ信用)になります。芝麻信用(ジーマ信用)のスコア上位の対象者は、医療機関で診察を受ける時に与信で支払いが可能になります。

中国の病院は非常に混んでいるのが特徴です。その理由の一つに「診察費の支払いが前払いである」というのが理由に挙げられます。これを解決するために、上海の復旦大学附属華山医院では、芝麻信用のスコアが650以上の来院者に1,000元(約1万7,000円)の与信枠が与えられ、そこから自動的に料金が精算されるシステムを導入しました。病院側は待ち時間の最大60パーセント短縮を目指しており、国内10カ所の病院で近く同様の仕組みが採用される見通しであると言われています。また、患者さんに関しても車椅子やモバイルバッテリーなどの便利なサービスも受けられます。

参照元:https://zj.zjol.com.cn/news/945031.html

信用スコアは日本の医療でどのように活用されるのか

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中国ではこのように既に医療の現場において信用スコアを活用しています。

日本ではどのような活用方法があるか考えてみました。

①信用スコア上位のみ入院できる病院・施設の設立

→お金を持っている人が優遇されるのはなく、信用を持っている人が優遇される環境の提供。

②医療機器メーカー・製薬会社を信用スコアで評価

→医薬品薬価・診療報酬に反映。より信用できる企業が優遇されるようなシステム。

③病院・医者を信用スコアでランク付け

→信用スコア上位の病院を患者さんが選ぶことができる。

④信用スコアを活用して医療従事者(医者・看護師・薬剤師・介護士など)のランク付け

→給与・賞与へ反映。採用する際に活用。医療従事者のモチベーションにもつながる。

⑤MaaSと信用スコアの連動

→MaaSと連動することにより移動手段・決算・病院選び・医者選びの一体化。

 *MaaSに興味ある方は下記の記事を参考にしてください。

drug.hatenablog.com

信用スコアは様々なケースで活用できると感じています。良く有名人だから○○病院のVIPルームに入院ができたとか聞きますが、今後はただ有名なだけではなく、信用できる人、人格者が優遇される時代になっていくのかもしれません。

まとめ

信用スコア普及により期待することは、学歴にとらわれない社会へ、社会モラル向上、犯罪減少に繋がると言われています。特に医療業界は信頼・信用があることが大前提の業界になります。この信用スコアを活用することにより、信用力が数値で可視化され、より透明性が高くなります。質が高く、信頼できる、信用できる医療業界にさらに発展できる可能性もあると思います。しかし、デメリットの部分もあります。この部分はより改善し、信用スコアを日本の医療に活用していく時代になってほしいです。