医療業界の注目話題

今後の医療業界について

MaaS(マース)が日本の医療を発展させることは可能なのか?

f:id:tufu:20190814180949j:plain

最新テクノロジーを導入することで、日本の医療は発展すると考えています。この発展とは、新しい治療薬の開発・新しい診断基準などだけではなく、患者さんの環境を整えることも含まれていると思います。この環境を整える可能性を秘めたMaaSについて考えてみました。

MaaSとは

MaaSとは、最近注目されている新しい分野の概念になります。「Mobility as a Service」の略称になり、直訳すると「サービスとしてのモビリティ」で、移動のサービス化を意味しています。新しい概念になりますが、「様々な交通手段を統合し、ワンストップで予約・決済・利用できるようにする」という考え方になります。

電車やバス、飛行機など複数の交通手段を乗り継いで移動する際、それらを跨いだ移動ルートは検索可能となりましたが、予約や運賃の支払いは、各事業者に対して個別に行う必要があります。このような仕組みを、手元のスマートフォン等から検索~予約~支払を一度に行えるように改めて、ユーザーの利便性を大幅に高めたり、また移動の効率化により都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者対策などの問題の解決に役立てようとする考え方の上に立っているサービスがMaaSです。

   *総務省HPより一部抜粋

MaaSの導入事例(海外編)

1フィンランド

フィンランド首都ヘルシンキで世界で初めて実現したMaaSが「Whim(ウィム)」になります。「Whim」はベンチャー企業「MaaS Global」が提供しているサービスです。「Whim」は2016年にヘルシンキの交通当局と行なった実証実験のあと、正式にサービスが開始されています。バス、電車、レンタカー、タクシー、レンタサイクル、飛行機などあらゆる交通手段がニーズに合わせてパッケージ化され、定額で提供されるサービスです。

総務省HPより↓

総務省|情報通信統計データベース|次世代の交通 MaaS

2台湾

台湾では、もうすでにMaaSを交通政策に取り入れています。北部エリアの台北では、MaaSアプリ「UMAJ」台湾交通通信省MOTCと中華電信が共同で開発・運営をしている。南部エリアの高雄市ではMaaSアプリ「Men-GO」の導入が進んでいる。この「Men-GO」では公共交通の乗り放題パスになり、1ヶ月定額プランで日本円で6000円程度になります。

MaaSの導入事例(国内編)

国内においては、JR東日本・小田急電鉄などが動き出していますが、なんと言っても「MONET Technologies(モネ・テクノロジー)社」が注目されています。当社は、ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車の共同出資会社になります。資本金20億円で株主構成は、ソフトバンクが50.25%、トヨタ自動車が49.75%になります。

*長野県伊那市と業務連携協定を締結しています。

www.monet-technologies.com

MaaSを活用すると日本の医療はどう発展するのか?

f:id:tufu:20190814181320j:plain

MaaSが普及すると自動車を保有しなくても良い時代が来ます。そうなると、自動車業界は相当厳しい状況になると予想されます。それでは、医療業界はどのように変化するのでしょうか?私なりに考えてみました。

1全国どこにいても質の高い医療を提供できる

都市部では、近隣に様々なクリニック・大きい病院があると思いますが、地方は違います。むしろ、過疎化エリアだと病院にいくまでに○○㎞先というケースも多く存在しています。なので過疎化エリアは、定期的に健康状態をチェックするために病院に通う人は少なく、我慢し、重症化してしまいます。MaaSが全国で普及すれば、スケジュールを打ち込むだけで、自宅の前にお迎えがきて、病院に送ってくれる。そして、自宅にまた帰ってくれると、過疎化エリアでも自宅と病院との距離感を縮めてくれる可能性があります。そうすることで全国の医療水準は飛躍的に上がり、全国どこにいても一定の質の高い医療を提供できるのではないかと考えています。

2行きたい病院・クリニックを指定できる時代になる

先ほど「全国どこにいても質の高い医療を提供できる」と述べさせてもらいましたが、 MaaS活用により、「指定できる時代」にもなると考えています。今までは、遠くて行けない、行き方はわかっていても途中車が必要になるので行けないという方は多くいたと思います。近くの先生より、専門医に診てもらいたいというケースが増加していくのでは?薬局も同様だと思います。

3薬局への影響

現在の薬局経営の特徴は、決まった場所で、患者さんが処方箋を渡し、調剤する。そして、処方された医薬品の説明、受け渡しがメインだと思います。MaaSが普及することで患者さんの自宅へ持っていく・クリニックまで持っていくなどと変わる可能性があると考えています。

4介護業界への影響

介護業界は現在3つの問題点が指摘されています。①介護報酬ダウン②介護人材不足③介護レベル低下です。「介護職の給料は割に合わない」という意見が多く、離職率が高いのが現状です。特に、人材不足というのは致命的です。いくら立派な箱(建物)があっても職員がいなければ業務は回りません。介護ヘルパー・施設介護職・ケアマネージャー・生活相談員・送迎のドライバー・施設事務・・・。介護業界は多種多様な職種の方がいることで成り立っています。MaaSが普及することで、デイサービスで利用する送迎ドライバーの部分を改善できると考えています。今までは、施設側は「送迎加算」を取得することで送迎を実施していましたが、送迎がなくなればこのような費用は発生せず、違うところに費用をまわすことができるかもしれません。

 

このようにMaaSには様々な可能性があります。現状、日本ではすぐに導入するのは厳しいです。しかし、今後急激に成長していく可能性のある分野だと思います。

まとめ

・MaaSとは、「様々な交通手段を統合し、ワンストップで予約・決済・利用できるようにする」という考え方になります。

・フィンランド、台湾の一部ではすでにMaaSを導入しています。

・ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車の共同出資会社のMONET Technologies社がすでに長野県伊那市と業務連携協定を締結。

・MaaSは医療業界におても急激に成長していく可能性がある分野である。